2010.01.19


『凄いボールが現れた』

 ボウリングを生業として50年にもなると、新しいボールやシューズであまり
ビックリしたり、感動したりすることも少なくなる。
しかし今度だけは感動し、ビックリした。夜、嬉しくてなかなか寝つけなかった。
 こんなに凄いことが起きたのだ。

 先日、コバ商事さんから、モニター用として、「ブロークンアロー レベル3G」と云うボールの提供があった。早速ティームタカダジュニアの 佐 藤 淳 君 にドリルしてテストすることにした。朝一番の多少早めのレーンで、同じボールのテストをする棚橋孝太プロと並んで投げ始めた。

 今までのボールには無かった素晴らしいキックバック・アクションがあるものの、決してオソクはないコンディションなのに、あまりにも曲がりすぎる。しかしながら、曲がり巾の大きいボールに有り勝ちなロールアウト現象はなく、ピンデッキに入ってからもクリアーな曲がりを維持している。しかし

  『ダメだ曲がり巾が大き過ぎる…このボールは超ヘビーオイル専用だな!』
  『普通のハウスコンディションで普通のボウラーには箱だしでは無理がある!』

 これが、ボール・エンジニアとしての私の最初の結論だった。

 しかし、最後まで衰えないフックパワーには何か見逃せない魅力があった。
ここで、10数年前にニューヨーク州ロチェスターでバックエンド・リアクションすなわち適正なインパクトアングルでのクイコミを残したままで、スキッドゾーンだけを長くする表面加工方法の研究実験を繰返していた頃の事をふと思い出した。
本来、ボール・エンジニアの私としては、ボールの表面加工にはあまり積極的ではないのだが、

  『…ひょっとするとフラッシュカット加工すれば使えるボールになるかもしれない』

 こうして、2人と相談の上で私のプロショップに持ち帰り、棚橋プロのボールを75%、佐藤 淳 君のボールを85%のフラッシュ・カット加工をして投げてみた。
 するとどうだ。

  『なんだ、なんだ、この凄いキックバック・ピンアクションは・・・??』
  『何だ、何だ、このスキッドとスナップは・・・??』
  『・・・オイオイ、凄いボールになっちゃったぞ!』

投げた本人達はもちろん、私も、見ていた人達にも驚きと感動の拍手が起きた。

 とにかく凄い!
 2人共にキックバックはあまり大きくないタイプのボウラーのはずなのに、15枚目あたりから7枚目あたりまで出したボールが、多少のリリースミスがあってもなんのその。理想的な角度で完全にポケットに集まり、100%キックバックするのだ。ヘッダー部分でのスキッドも十分、スキッドゾーンが長くなった分エネルギーが温存されて、クイコミがさらに強くなっていた。

  『しまった! 残るな』 と思った10番ピンが、少しタイミングが遅れてキックバックで倒れて行くさまは、まるでジャパンカップ3連覇当時のパーカーボーンの全盛時代のボウリングを見るようであった。そして、ストライクゾーンの巾やピンの飛散する様子はさながらトミー・ジョーンズやショーン・ラッシュのボウリングかと思われるほど凄いものであった。

 当日、投げたボールの95%前後がストライクであったのには本当に驚いた。
スピードも、攻めるラインも回転角度も少しづつ違う2人に、まったく同じような素晴らしいピンアクションやキックバックが起こるという事は、正しい回転を持った大多数のボウラーにも共通して起こるであろうアクションであり、レベル3Gが秘めていたボール本来の能力とフラッシュカット加工とがマッチして生まれた予期せぬ嬉しい個性だと考えても間違いないだろう。

さらに多くの人にいろいろなパターンのテストを続けてみたい。


このアクションを生み出す絶対必要条件

  ボウラーのタイプ

  ・普通程度のボールスピードがある事。
  ・スピードが速すぎる人はフラッシュカットの%を少なくする事。
  ・回転角度が45度から60度前後であること。
  ・角度不足の人には効果なし。
  ・インサイドラインからボールを外に出す投球が出来る事。
  ・トラック円周が24インチ前後であり、チルトの傾斜があまり大きくない事。

  アクシスポイント

  ・回転軸の正確なチェックがすべてのスタート。

  フレアー巾のチェック

  ・1回転目のフレアーと最終回転のフレアーとの移動巾のチェックが必要。
   これはアクシス・ポイントの移動巾と同じ意味。

  マスバイアス・レイアウトの決定

  ・回転のタイプや回転数やスパンにより、ボール・パァフォーマンスが
   最も効果的に現れるドリル位置の決定が大切。

  ボールの選択

  ・ボウリングボールは、同じボールでも、ボウラーの球質やスパンに
   応じた適正なピン位置のボールを選択する必要がある。
   ショートピン位置が向いている人、ロングピン位置が向いている人
   さまざまである。ショートかロングか、どちらをドリルするか。
   このボール選択には、かなり熟練したプロショップ・スペシャリストと
   しての技能が求められる。

  フラッシュカット 市販の研磨剤で磨いてもこの凄いピンアクションは期待できない

  ・アクセラレーター
  ・フラッシュカット #1 と  ウォッシャブルタオル
  ・フラッシュカット #2 と  フィニッシュコットン

  ボールスピナー

  ・業務用高速回転ボールスピナーが必要。

  フラッシュカット加工のノウハウと技術

  ・簡単なようで難しい研磨技術
  ・研磨方向や研磨圧力などのノウハウが必要です
  ・アクセラレーターのスプレー量と乾燥時間。
  ・フラッシュカット #1 #2 夫々の分量・研磨時間・研磨圧力。


このボールを使ってみたい貴方に・・・

1年に1度あるか無いかの 田 誠 のオススメです。

 フラッシュカット加工をした「ブロークンアロー レベル3G」を見てみたい、触ってみたい、使ってみたいと思うトップボウラー、フリーのプロボウラー、プロテスト受験生などの方は、少し遠いですが松戸市常盤平の
田誠プロショップまでドライブがてらお出かけください。

 上手くいけば 貴方もパーカーボーン気分になれるかも知れませんよ。
 ボールは15・14 ・13 ポンドを合計60確保しました。
 (売り切れたら御免なさい。)

 業務で外出が多いため不在の時があります。
 必ずご予約の上ご来店ください。

  田 誠 ボウリングプロショップ 予約電話 047−394−0707

 追伸・3月は月初めから4週間程度私用で不在にいたします。
 お急ぎの方は2月末までにどうぞお越しください。お待ちしております。

田  誠   

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